Canonのフラグシップ機が控えめな画素数を採用する理由とそのメリット

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はじめに

昨今ではカメラの進化とともに「高画素＝高画質」という認識が広まり、多くのメーカーが高解像度センサーを搭載したカメラを市場に投入しています。

しかし、Canonのフラグシップ機（例えばEOS R1やEOS-1D X Mark IIIなど）はあえて控えめな画素数を採用する ことが多いです。

最新のミドルクラスモデルが4000万画素以上のセンサーを搭載する中で、Canonのフラグシップモデルは約2000万画素前後に留められていることが多く、その理由が気になる方も多いでしょう。

今回はCanonのフラグシップカメラが控えめな画素数を採用する理由と、そのメリットについて詳しく解説 します。

フラグシップ機はスポーツ・報道・野生動物撮影 など、決定的な瞬間を捉えるために高速連写性能 が求められます。

高画素センサーは1枚の画像データが大きいため、連写時のバッファ処理に負荷がかかり連写速度が低下 しやすくなります。しかし、控えめな画素数であればデータの処理負担が軽減され、より長く・速く連写を続けることが可能 になります。

・具体的な例

EOS R1（約2420万画素） → 電子シャッター使用時最大コマ/40秒の連写

EOS R3（約2410万画素） → 電子シャッター使用時最大30コマ/秒の連写

EOS-1D X Mark III（約2010万画素） → メカシャッターでも最大16コマ/秒の連写

フラグシップ機では、画素数を控えることで連写性能を最大化し、瞬間を逃さない設計 になっているのです。

画素数が増えると1つ1つの画素（フォトサイト）のサイズが小さくなる ため、同じ光量を受け取るセンサーでも集光効率が下がり、ノイズが発生しやすく なります。

画素数を抑えることで、1画素あたりの受光面積が大きくなり、高感度時のノイズが少なくなる のが大きなメリットです。これによりフラグシップ機は以下のような撮影環境で強みを発揮します。

・具体的なシーン

スポーツ撮影（室内競技やナイトゲーム）

報道撮影（暗い場所でもフラッシュを使えない場面）

野生動物撮影（夜間・薄暗い環境での撮影）

例えば、EOS-1D X Mark III は最大ISO 819200 まで設定可能で、極限の低照度環境でも撮影できる仕様になっています。

高画素センサーは画素あたりの光の受け取り量が少ないため、ダイナミックレンジ（明暗差の表現幅）が狭くなりがち です。

一方、低画素・大画素ピッチのセンサーはより多くの光を受け取れるためダイナミックレンジが広がり白飛びや黒つぶれが起こりにくくなります。

これにより逆光や強いコントラストのシーンでもハイライトとシャドウのディテールをしっかり残せる のが強みです。

フラグシップ機はプロの現場での即時性 が求められることが多いです。

高画素の画像はファイルサイズが大きくなるため、転送・編集・ストレージ管理の負担が増加 します。しかし、画素数を抑えることで以下のようなメリットがあります。

・プロの現場での利便性

高速データ転送（スポーツや報道では即座に送信が必要）

編集・レタッチがスムーズ（データが重すぎると処理に時間がかかる）

ストレージ消費を抑えられる（大量の写真を扱うプロにとって重要）

特に、報道・スポーツ系のカメラマンは、撮影直後に編集・配信するケースが多いため、軽量な画像データが求められる のです。

高画素化が進むとセンサーの解像度が上がる一方で、レンズの性能がそれに追いつかない場合があります。

例えば4500万画素以上のセンサーではレンズの解像性能が足りないと画像がシャープに見えないこともあるのです。

・Canonの考え方

フラグシップ機は現実的な解像度とレンズ性能のバランスを重視

不要に高画素化せず解像度と画質の両立を図る

これにより実用性の高いシャープな画像が得られるのです。

メリット	説明
高速連写が可能	低画素で処理負担を抑え、最大30fps以上の連写性能を確保
高感度・低ノイズ	受光面積が大きいため、暗所でもノイズが少ない
ダイナミックレンジが広い	明暗差の激しい環境でも階調豊かに表現可能
データサイズが適切	軽量データで転送・編集がスムーズ
レンズ性能とバランスが良い	高解像度すぎず、シャープでクリアな画質